2013年12月19日木曜日

Windows の文字を Mac のように美しくする MacType

Windows を使っていて、何となく不満を覚えることの一つに、
文字が滑らかでない、トゲトゲしている
というのがあります。

(→関連記事:最新版 Google Chrome で MacType がうまく効かない時の設定の仕方

Windows には ClearType というアンチエイリアシング(スムージング)の技術が用意されており、画面上に表示される文字のギザギザ感(ジャギー)を低減するようになっていますが、フォントの種類やサイズによってスムージングの具合が異なる場合があり、一貫性が少ないのが現状です。

また、Mac のスムージングに比べると、Windows の スムージングはあまり積極的ではなく、見え方が明瞭であることのほうに重点がおかれているため、Mac ユーザからは、
Windows はフォントが汚い!
と言われることがあります。これは、もう少し正確いうと、「フォントが汚い」のではなく、「フォントのレンダリング(画面表示)がイマイチ」ということです。

「綺麗さ」と「明瞭さ」は、どちらも重要ですが、印刷物と比べて解像度の低いパソコンの画面でそれらを両立するのは難しく、Mac は「綺麗さ重視」、Windows は「明瞭さ重視」にチューニングされていると考えれば、あとは好みの問題です。



Windows のフォント表示を美しくする MacType


MacType は Windows で Mac のようにスムースなアンチエイリアシングを実現することのできるフリーウェアです。

MacType を使うと、例えば Word で書く文章がこんな感じになります。



左が MacType 動作時、右がオリジナル

10.5 ポイントの Garamond と MS P明朝 フォントの組み合わせですが、Windows のオリジナルでは、MS P明朝 はスムージングなしのビットマップフォントが使われており、見た目ははっきりしていますが、印刷物のようなスムースさはありません。MacTypeを使うと、スムージングされた滑らかな文字になり、印刷物に似た感じに見えます。一方、英文字は Windows オリジナルでもスムージング処理されています。この場合、MacType を使うと少し滲んで見え、Windows オリジナルのほうがバランスが良い、という感じもしますが、MacType のほうが滑らかな表示になっており、好みの分かれるところでしょう。

Windows のデスクトップアイコンの文字を比べてみます。


左が MacType 動作時、右がオリジナル
(セッティングは "LCD" を選択、見やすいように画面を2倍に拡大してあります)

Windows のオリジナルのスムージング処理に比べて、MacType ではジャギーが少なく(斜めの線の見え方の滑らかさに注目)、フォントが綺麗に表現されていることが分かると思います。


MacType のインストールと設定


MacType は、以下の配布元ウェブサイトからダウンロードできます。

https://code.google.com/p/mactype/

インストーラーを起動すると、中国語の文字が出てきたりして少し不安になりますが(中国の方ゴメンナサイ…)、アンチウイルスにも文句を言われること無くちゃんと動作します。
設定は、インストール時に MacType ウィザードというツールで初期設定しますが、インストール後は、いつでも MacType ウィザードを起動して変更できます。システムに常駐するタイプのソフトウェアのため、起動モードが複数用意されていて、ユーザーが選択できます。


MacType ウィザードの最初のページで起動モードを選択できる

筆者は、[MacTray ロード]-[独立モード] で利用しています。システムトレイのアイコンからオン・オフ切り替えができるので便利です。

気になる互換性ですが、大抵のアプリは問題なく動作しています。筆者の使っているアプリのうち、少し古めのアプリで MacType がオンだと起動できないものが1つありました(少し専門的なソフトなので名前は省略します)。このアプリの場合は、MacType をオフにして起動、起動後にふたたびシステムトレイから MacType をオンにすると問題なく動作させることができました。


Windows の今後に期待


そんなわけで、MacType を使いはじめてから、オリジナルの Windows には戻れなくなっている今日このごろですが、最近のタブレットやスマートフォンでは、超高解像度(高密度)モニタへの移行が進みつつあり、従来 72-120 DPI 程度だったピクセル密度が、200 DPI 以上、最新機種では 300 DPI を越えるものが登場してきています。例えば、Apple の Retina ディスプレイや、Kindle Fire HDX、Nexus 7/10 などに搭載されてるようなディスプレイが代表的ですね。超高解像度ディスプレイでは、豊富なピクセル数を使ってフォントを表示することが可能なため、今後は、より印刷物に近い、美しさを重視したレンダリングアルゴリズムへの移行が進むのではないかと思います。それまでは、MacType のようなソフトウェアをありがたく使うことにしたいと思います。

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