2014年11月10日月曜日

ヤマハVPNルーターRTX1210がもうすぐ発売 - RTX1200からの変更点まとめ

ヤマハの定番VPNルーターRTX1200のリニューアル版となる新型VPNルーター「RTX1210」の登場が6月に発表されていましたが、ついに11月の発売予定を控え、ヤマハのウェブサイトが更新されました。



待望のリニューアル!


2008年10月に発売されてから丸6年、小規模オフィスやSOHO向けとしては圧倒的な人気の定番VPNルータ「RTX1200」がリニューアル、「RTX1210」として2014年11月27日に発売予定となっています。


一番気になるのは、「RTX1200からどこが変わったか?」ということです。
ヤマハのウェブサイトにアクセスしたところ、その質問は想定内です、と言った感じで仕様の変更点が示されていました(こういうところが親切で良いですね)。

RTX1210の仕様:赤字RTX1200との違い)

以下、注目点をまとめておきたいと思います。


スループットの向上


まずは、スループットの向上です。(数値はそれぞれ RTX1200RTX1210
  • スループット: 最大 1Gbit/s → 2Gbit/s
  • IPsecスループット: 最大 200Mbit/s → 1.5Gbit/s
  • L2TPv3スループット: 最大 600Mbit/s → TBD
  • L2TPv3/IPsecスループット: 最大 140Mbit/s → TBD
RTX1200では、IPsec VPNのスループットがもう少し欲しい、という場面で上位機種や他機種の選択を考える機会が多そうなだけに、今回のRTX1210では目玉となる仕様変更ではないかと思います。データリンク層(L2)でのVPNを可能にするL2TPv3(Layer 2 Tunneling Protocol version 3)、およびその上でIPsecを利用した場合のスループットについては未測定(TBD)とのことですが、期待したいところです。


堅牢性の向上


パフォーマンス向上だけではなく、堅牢性アップも図られています。
  • 本体材質: プラスチック筐体 → 金属筐体
  • 動作環境温度: 40℃ → 45℃
ファンレス設計はそのままに、金属筐体を採用することで放熱性を強化、その結果、動作環境温度が45℃まで許容されることになりました。筐体にケンジントンロック対応のスロットが追加されたのも嬉しいですね。


省エネ関連


省エネが本機のユーザーにとってどれほど機種選定時の重要項目かは不明ですが…
  • 最大消費電力: 16W(31VA) → 14.5W(28VA)
最大消費電力で10%ほど省エネ化されています。また、EEE(Energy Efficient Ethernet)にも対応しているので、より細やかな省エネ動作が期待されます。ただし、実際のパフォーマンスを示すデータはまだありません。


リンクアグリゲーションによる冗長化対応


今回、RTX1210ではリンクアグリゲーションに対応しました。リンクアグリゲーションでは
  • 冗長化
  • 高スループット化
の2つが期待されますが、RTX1210の仕様上の上限値である2Gbit/sを超えるスループットは出ないとのことで、メリットはポート故障や断線に対する冗長化構成が可能になるという点に限定されますが、嬉しい機能向上ですね。


コンソールポートの変更


RTX1200からの移行や混在を考えている人は、コンソール端子が変更されている点に注意しましょう。
  • D-sub 9ピン → RJ-45
RTX1200に付属のケーブルが使えないだけでなく、別売り(品番:YRC-RJ45C)になったことにも注意が必要です。対応通信速度は9,600bps(固定)→115kbpsと高速化しました。
ちなみに、LANケーブルも付属しなくなっています(大抵のユーザには不要だったと思いますが)。


NAT関連


大きな変更ではありませんが、
  • NATセッション数: 20,000 → 65,534
と増えています。端末数が多めの環境でも安心ですね。


GUI関連


GUIによる管理機能も強化されています。
  • ブラウザ: IE6.0以上 → IE9.0以上・Chrome37.0以上・FireFox32.0以上・Safari7.0以上
推奨ブラウザとしてIE以外の名前が正式に登場しています。
  • ダッシュボード機能
  • LANマップ
様々な情報の「見える化」を促進するために、すでに同社のファイアウォールFWX120で先行採用されている「ダッシュボード」画面が提供されるようになりました。ダッシュボードでは、従来個別のGUI画面で表示していた情報のうち必要な物を選んで表示することにより、見通しのよい管理が可能になります。LANマップでは管理下のスイッチやその他の機器がマッピング表示され、ネットワーク構成が簡単に把握できるようになります。ファームウェアに関しては、RTX1200も当分サポートは続きますので、ひょっとすると、RTX1200にもこうしたGUI新機能が追加されるかも知れませんね。


その他の変更点(機能追加・増強)


ひとつひとつ説明はしませんが、いちおう書き出しておきます(ヤマハ資料より引用)。
  • Flash ROM: 16MB → 32MB
  • RAM: 128MB → 256MB
  • タグVLAN: PPPoE over タグVLAN のサポート追加
  • OSPFネイバー数とその経路(30ネイバーの時): 経路数 5,000 → 8,000
  • BGP4経路数: 最大 5,000 → 10,000
  • 動的フィルター・セッション数:20,000 → 65,534
数字が増えるのは良いことだ…ということで。


RTX1210で廃止された機能も


最後に、RTX1210で廃止となった(と思われる)機能をまとめて挙げておきます。
  • 外部データベース参照型Webレピュテーション機能
  • PIAFS 32/64k 対応
  • FOMA回線経由のリモートセットアップ
  • フレームリレー網 対応
ほとんど必要とされていない機能を廃止にした、ということでしょうが、もしかすると「RTX1200でないとダメ」という状況が今後出てくるかも知れません。完全上位互換というわけではないということに注意しておきましょう。